素描のポイント

これから美術系大学を志してデッサンをしようという時、こんなやり方でいいのだろうかと感じてしまうこともあると思います。
ここでは、そういう生徒に向けて指針となるような事柄を紹介しようと思います。これまで、デッサンの指導をするときの、意識すべきポイントのようなものを(これ以外にも様々ありますが)とりあえず紹介してみます。

 

1    見えない部分を意識しているか。

往々にして、目に見えるものに注意が行きがちになりますが、意識しないと見えてこないものを、しっかりとらえているかが大変重要です。
仮に布に覆われた土台にモチーフがのっているとしましょう。直接見えないからといって、土台を意識せずに描いてしまうと、このデッサンを見る人は、モチーフが台に乗っているのか、あるいは宙に浮いているのかわからないということになってしまいます。ある画家は「画面は舞台である」と言っています。舞台が屋内なのか外なのか、どんな場所なのかがよくわからない状態では、観客は今ひとつ演じられるストーリーに気持ちが入っていきにくい、そういうことになってしまいます。

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2    重さや硬さを意識しているか
素描をするときのモチーフは静物になりますが、一つ一つのモチーフの特性をとらえることも大切です。器や、果物、パン、ボトルなど、様々なモチーフがあります。形、色、質感などは直接目に入り、わかりやすいのですが、重さや硬さといったものを意識するしないで、表現や上達に差が出てしまうことになります。

 

3    台座と上に広がる空間を意識しているか

台座を意識することの大切さは1で記しましたが、台座の上に広がる空間をとらえることも大切です。様々なとらえ方があると思いますが、図2のように茶碗を描く時など、見えない立方体の中に入っていると見立てて描くと描きやすいし、空間を意識しやすいかもしれません。パースといわれるものですが、あまり精密にし過ぎると絵のおもしろみが欠けてしまうことにもなりかねません。その人それぞれの空間の作り方があり、そこは日々デッサンを重ねることで加減を見いだしていくことになるでしょう。

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4    補助線を利用しているか

モチーフを描こうとして、輪郭線に沿っていくつか線を描きます。何本も引いて、やがてモチーフの輪郭線に導かれていきますが、その際、モチーフとは関係のない線を補助的に入れることにより、より正確にとらえようとするものです。

 

5    モチーフの動きを意識しているか

ものの形には、形が持つ「動き」が感じられると言っていいかもしれません。たとえば円柱であれば、円柱の側面の水平方向には常に円を描こうとする動き、垂直方向には直線的に上方あるいは下方に向かおうとする直線の動きが感じられます。この動きに沿って線を重ねていくことで自然なデッサンになっていきます。

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6    モチーフ同士の関係性を意識しているか

描こうとするモチーフ(複数)を同じ画面の中に描けば、それらのモチーフは同じ空間にあるように見えるか、というと、簡単にはいかないようです。3の台座の上の空間、その空間の秩序に沿ってモチーフ(複数)を描くようにしなければ、同じ空間に存在するようには見えないものです。

 

7    モチーフ(複数)をまとまりとしてとらえているか

台座にモチーフが複数あるとして、それらが成す形のバランスが画面上でもとらえられているかも大切なポイントです。個々のモチーフだけに気をとられていると、全体の配置、バランスが崩れてしまうことがあります。

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8    鉛筆のBとHを使い分けているか

鉛筆はB, 2B, 4B、2H、4Hくらいは使い分けられるといいかもしれません。限られた種類の鉛筆で、白から黒に至る様々なグレーの階調を表現しなくてはなりません。白と黒の真ん中あたりのグレーから白にいたる明るいグレーは、Hの鉛筆がいいかもしれません。B系でも明るいグレーは作れますが、線を重ねていくと、線がつぶれてしまい、線の表現ができないことになってしまいます。

 

9    大まかな調子をとらえているか

デッサンをするときに特に大切なことは、大まかな調子をとらえているかということです。静物ではわかりにくいかもしれませんが、石膏デッサンでははっきりわかります。石膏像に光が当たり陰影ができますが、その明暗の移り変わる様を目を細めて見たときの大まかな陰影の調子が表現されているか。明暗の移り変わる様、その美しさはデッサンにおいて大切な美的要素となります。

 

10    全体と部分のバランスをとらえているか

デッサンにかぎらず、平面作品において個々の部分の描写と全体とのバランスをとらなければなりません。「画面は舞台である」との言い方ができるとすれば、舞台には主役がいて、脇役もいるということになります。平面作品で言えば、主役的なところもあれば脇役的なところもあり、描写の強弱をどうつけていくか、どう組み立てていくのかを学んでいかなければなりません。

 

11    動きに沿ったハッチング

5で記したように、モチーフの形にはそれぞれ動きがあります。その動きに沿ってハッチングを入れていくと、それなりの描写になります。基本的には縦横斜めの線に加えて、様々な線を入れていきます。

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12    色を表現しているか

鉛筆や木炭でデッサンをしていると「色」については考えずに進めてしまいがちです。ところが「色」について何も考えずに明暗や調子をつけていくと、「色」の持つ明度を無視してしまいがちです。パソコン等でカラーを無彩色に変換するような正確さは必要ないと思いますが、だいたいこれくらいの明度差があるだろう、くらいの明暗は押さえておきたいものです。